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カマジュスルトの宝玉

大地からの贈り者

古より深い森の中に住み、大地が育んだ「恩恵」を守護する竜。

カマジュスルトの伝説は今も深い緑生い茂る「イミージュ・フォルクロア地方」で生まれ、自然を大切に扱うという概念のもとで形を変えて周辺の村々に広まっていった。
話の本質こそ変わらないものの、登場する”守護者として”のカマジュスルトは、より主題を明確にするために空想を交えた「神獣」であるため、世に実在するオリジナルのカマジュスルトとは別物であることを覚えておきたい。

さて、派生作品に関して触れてしまえば、その数はもう星の数ほどに広がってしまうだろうから、ここではオリジナルのカマジュスルトと、彼が護る「恩恵」についてに絞って、少しだけお話をしよう。



翡翠と平和の大地

イミージュ・フォルクロア地方は中心部が熱湿地帯、それ以外は温暖な恵まれた環境にある。熱湿地帯エリア、通称「スワンプ」は小高い山脈に囲まれた内側にあり、雨水と湧き水を周辺へ送り出している。このスワンプの中央、つまりイミージュ・フォルクロアの中心点にカマジュスルトが住まう、現地民の言葉でいう「聖域」(現地の言葉で、ラ・クーツドゥ)が存在する。
カマジュスルトはこの場所で大地と共に呼吸をし、風と会話をしている。そうすることで大地の異変を察知したりそれを治したり、風に教わった嵐や周辺の争いごとをライフたちに教えている。ライフたちは彼の声を聞くことで街や畑を守る準備ができるし、不要な争いを避けたり、攻め込んでくる勢力に対抗する準備をとることができた。結果として土地は荒れることが無く、いつも穏やかで美しい景観を保つことができる。


一説にはカマジュスルトはイミージュ・フォルクロアの一番最初の住民で、当時一面に広がっていたフィレッタの花畑がたいへん気に入って以来、この地を守り抜くと決意したのだといわれている。
時代が流れた現代では咲いたフィレッタを見ることはできないが、聖域の中にある石碑の下に続く洞窟には蕾が眠っているらしい。
しかし聖域は不思議な力が働いている周辺の湿地帯によって完全に護られていて、「聖域があること」は万人に確認できても、立ち入ることは誰にも叶わない。むしろそんな野蛮な行いをしようとも誰も考えない。


カマジュスルトによって護られてきた土地の力と景観、ライフの暮らしの豊かさが彼がもたらす恩恵で、イミージュ・フォルクロアの土地が綺麗な円形をしていて、上空から見ると水の反射で輝いて見えることから鳥族には「宝石の国」と呼ばれている。そんなことからこの地に住まうライフたちは誇りと感謝の意を込めて、カマジュスルトの宝玉と呼んでいる。