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悪しきクラゲの伝説

むかしむかしの遠い昔に、とても凶悪な巨大クラゲが地上で大暴れしていた時代があったそうな。
当時クラゲを追い続けていた3人の銃士が書き残した手記が、つい最近になって樽金魚の泉の物置小屋から発見された。
謎が多かったクラゲ伝説に、大きな進展をもたらすその手記の中身をのぞいてみよう。


ルルーソンの手記

手記は3銃士のうち最も力が強かった男「ルールルト=ルルーソン」の持ち物で、歯抜けの日記がほとんどを占めている。日記の合間のページや背表紙には旅の中で受けていたと思われる依頼のメモや、翌日のディナーのプランなどが乱雑に書き記されている。
クラゲについて触れ始めるのは手記の終盤のページ(287/330)で、日記の中に「街で聞いた噂話」として、全長が20メートルほどあること、触手に毒を持っていること、放っておくと増えること、熱には弱いらしい、甘党、深海は苦手というメモが散りばめられている。
次の登場は翌々ページの日記の中で、「次の目的地が決まった。大陸を渡って砂漠の中の街ラミ・ユヌを目指す。まずは港町を目指すことになるが、先日の巨大クラゲの話し手の出身地がまさに我々が向かおうとしている港であるため少々気が重い」とある。
2ページまるまる食事に関する愚痴とレシピのメモが綴られた後、一般的なクラゲの生態や料理方法を書き連ねた情報が並んでいる。その中に、「度を超して巨大化したクラゲはあまりの空腹の癒えなささに狂乱して自我を失い、やがてライフから魔獣へ、そして魔獣からエフィルへと変化を遂げることがあるらしい。しかしその変化の途中に分泌される成分は身をよく引き締め、味を整える効能をもたらすため、食用として用いるのであればこの瞬間にしとめるのがもっとも適している」という怪しいメモの切り抜きが貼付けてあった。


しばらくめくっていくと、310ページ目でクラゲと彼らが接触した書き出しの文面に辿り着くのだが、残念なことに「イカスミ」らしきインクでページ一面が黒く染まってしまっており、ここはまだ解読が進められていない。
クラゲ伝説は今もまだあちこちでうまれていることから、恐らく3銃士が出会ったクラゲはまだ生きていて、あちこちで脅威をふるっている。
一刻も早く文面を解読してクラゲの駆除に役立つ情報を探り出してもらいたいものだ。

なお、3銃士のうちのひとりには「嘘を打ち砕く」能力者がいたことから、この手記に偽りが記載されている確率は皆無で、その点からも有益な情報が別の点にもうまれてくることが期待されている。