Atradium

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ヤヌールの牢獄

来る者も去る者も決して許さない

離れ小島の岸壁にゲートを設ける、地中の牢獄。
禁忌を犯した大罪もちはこの牢に投獄されて、これまで一度として入獄者が陽の光を浴びたことはないと言われているのです。


ヤヌールの牢獄はテマトニクス海峡から西にみえる海獣の墓場を越え、毒づく大渦と氷河の亀裂のちょうど中間に浮かぶ島にあります。
あまりに過酷な立地は並のライフでは近づくことすら許してもらえないのです。
近隣で生活しているなかで海を越えられる唯一のライフと呼ばれていた、エノッサ=ヤンクル族も数百年前に絶滅してしまった今、牢へ足を伸ばすには遠方より訪れる物好きで強靭なライフを待ち望むしか術はありません。


この牢獄は文明を3つほど遡った時代につくられたと言われていて、当時は難攻不落・史上最強の要塞として、次の時代には魔術の生け贄を捧げる祭壇として、その次の時代には墓穴として使われてきた歴史があります。過去の歴史ではいまほど海も荒れてはおらず、積み重なってきた悲しみとヒトビトの呪いが環境を徐々に変えてきたのだと詳しいヒトたちは話しています。
また、獄中死を向かえた亡者の魂はエフィルとなってなお脱出することが叶わず彷徨い続けているともいわれています。
彼らが生み続ける悲しみと憎しみは蓄積し続けているので、今後さらに海が荒れていつか周辺一帯を喰らい尽くす魔物が生まれるのではないかという懸念も生まれています。

読者の方の中には考えていらっしゃる方もおられると思います。
なぜ誰も訪れることすら叶わない場所についてこれだけの情報があるのか。
そしてだれが罪人を裁き彼の地に送り、牢に閉じ込める一連の作業を執り行っているのか。
私の手元にはその確たる証拠、根拠は残念ながら揃っていません。
あちらこちらに散らばった情報をより集めて、ようやくこういった象が見えてきた、程度のお話です。

もしかしたらヤヌールの牢獄なる場所は誰かが考えた残酷な妄想であるだけかもしれないのです