Atradium

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世界の終点

「世界の終点」と呼ばれる地がある。

この無限に広がる大地に果てなどあるはずも無いのに、なぜそのような場所が存在するのだろうか。
彼の地を求めた数多の冒険者の手記から集めてたてた私の推論を聞いてもらえるだろうか。



まずはじめにこの大地のことから見てみよう。


言わずと知れた冒険者のロマン、無限に広がり続けると伝えられる地平線。
何処まで行っても終わりは訪れず、常に新しい舞台との出会いが待っている。
故に終点などあり得ない。


そして終点と呼ばれた場所。

世界の果てとも呼ばれ、そこには絶壁だけがありその先には何もないだとか、
だだっ広い荒野だけが広がってるとか、
終末の獣が封印された地だとか、
突然に無が訪れて踏み入れたら消失するとか、
この世のすべてが超密度で集結してるとか、
すべての物語にアクセスできる異空間への入り口が連なるとか、
その地点を境に万物が反転しているとか、
広がる末端のひとつ先の場所だとか、
ガイアの住まう空間だとか、
大地の拡大の干渉を受けない聖域だとか、

・・・数えればきりがない無数のいわれがある。


既に矛盾だらけだ。
終わり無い地に終わりを示す場所がある。おかしなはなしだ。
それなのに、だ!

なぜかこの終点に関わる話は、スタンスフォートにまつわる重大事実に必ず記述が存在している!
長い歴史を記した古書にも、ガイアを崇める聖書にも、雑草から世界樹まで記した図鑑にも、すべてに!
それなのに、だ!

なぜ誰も辿り着けない?
なぜ誰も場所を知らない?
なぜだ?!


やはり彼の地の存在は虚構であるのだろうか。
どれだけ調べても、発端となった記述、つまり最も古い記述と言うものは見つからなかった。
それらしい時代の書物はいくつもあったが、おかしなことに全て年代記が同一なのだから第一人者など見つかるはずも無い。

いや、むしろそこがこの伝承を解明する鍵だという可能性も否定できない。
はじまりの時期が皆一様にして同一なのであれば、その時代、その瞬間になにかが起きていることは間違いないだろう。
多くの伝承の描き手が揃って同じことを提唱したのであれば、それはまぎれも無く意図的な発端であり、なにかの陰謀ともとれる。

歴史に詳しい知識を持つお方、どうだろう?
「文明戦争」と呼ばれた、万物が破壊神に飲み込まれた黒歴史、その終結の直後からの数週間。
この期間に大地では何が起きたのだ?
私にはどうしても、あの破壊神が突如として姿を消し、大地に再びの平和が訪れたという事実が受け入れきれない。

もしや、あの破壊神と世界の終点には何かしらの関連性があるのではないだろうか。

この疑念の解決が世界の終点の在処を示す鍵となる可能性は限りなく低いとは思うが、目の前の「?」はしらみつぶしにあたってみようと思う。