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失われた魔法〜召喚術

召喚術とはかつて栄えたとされる伝承の魔術である
本項では謎深いこの魔術について触れる



伝承の中だけに存在する魔術のひとつに「召喚術」がある。
名の通り、術者が第三者を「呼び出す」ことを目的とした魔術であるが、転移魔法や空間を歪める術とは作用が異なる。


「契約」から始まる

多くの召喚術は、事前に契約を結んだ魔獣の力を借りるというものだ。
(契約を交わした魔物を便宜上「召喚獣」とよぶ)
契約には召喚獣が示した条件に術者が同意する必要がある。その条件は、召喚獣の能力の大きさと性格に比例する。
記録の残る限りでは、術者の四肢や、寿命、生き血、最愛の者、死後の肉体などを要求したものがある。
特殊なケースとして、運気や精神力、食料や土地などもあった。現世で暴れることだけを目的とした血気盛んな召喚獣は、ただ現世に呼び出されることだけを喜ぶため、特別な要求を持たなかったという記述も見られる。


「呼び出される能力」

召喚獣にも種類があったようだ。
1つ目は、「サモン」。
召喚した召喚獣が術者に変わって、あるいは術者と共に戦うというものである。最もオーソドックスで扱いやすく、このスタイルが最も多かったと推測されている。
2つ目は、「シンク」。
実体を持たない召喚獣を呼び出し、その召喚獣が持つ異能の力を術者が直接譲り受けるというものである。この場合戦闘行動を起こすのは術者本人であるため、後述する召喚獣を扱うメリットを潰してしまうため敬遠されていたと思われる。
3つ目は、「クロス」。
召喚獣と術者の同化である。これは更に2つに分類でき、一方は「一時」的に同化を行う。もう一方は「永続」する同化、いわゆる闇落ちである。シンクでは術者が生身で戦うが、クロスでは召喚獣のタフな肉体を得ることができるため、一時的なクロスはサモンを極めた上位の召喚士が用いたと考えられる。


「召喚」でのメリット・デメリット

相次ぐ戦の時代、第一線で戦える兵の数の消耗は常に深刻な問題であった。故に遠距離からでも戦闘に加勢できる弓兵や魔導師の導入が盛んになった。しかし戦闘のワンパターン化は避けて通れない道となり、争いは次第に泥沼と化していく。
その中で特殊な行動を起こせる「召喚獣」の価値はとても高く評価された。
・一つの召喚獣と契約できる術者は原則一人:同じ能力を持つものがいないため敵勢力に推測されにくい
・術者が遠距離に身を潜めることができる
・移動能力の高い召喚獣を用いて、敵を翻弄することができる
・肉弾戦を避けれるので兵の消耗が軽減される

ただし、上述したとおり「契約」には「対価」の支払が約束されている。
伝承において「英雄」と呼ばれた召喚士は皆揃って、その「代償」の名の下に散ったと記されている。


現在では召喚術を扱える者は残っておらず、召喚術が失われた理由の究明が進められている。