Atradium

CC-LICENSE BY-NC-SA クリエイティブ・コモンズ・ライセンス
copyrights 2012 Atradium

霜柱の鍾乳洞

極寒の地域に見られる巨大な霜柱は、その性質から居住区や宝物庫、要塞、墓地、氷像などなど多方面に利用されている。


一般的な霜柱は生成時の温度変化が小さいことから、大きさはせいぜい数センチ程度で強度もなく溶けやすい。しかし特定の環境下では溶けることの無い頑丈な氷が作られる。

《頑丈な氷ができる条件》

・空気が乾燥している
・空気中に不純物となる粒子が少ない
・大地に十分な(適量の)水分がある
・一晩で急激な温度低下が起こる
・霜柱ができる
・日中に気温が上がりすぎない


氷の塊になるまで1晩、倉庫として使えるレベルに達するまでに2日、民家として生活するレベルの霜柱になるまでには3日、大規模な居住区になるまでには7日かかり、1ヶ月程度条件を持続できれば巨大な永久凍土の洞窟が誕生する。それ以上は水分が凍結しきってしまうため成長しない。
霜柱ができ始めてからも雪は降り続けるため、完成する頃には完全に埋もれてしまう。利用する際には掘り進めていく必要があるのはご愛嬌。

無風状態で凍結が進めば円柱の氷の塊が出来上がる。現地ではこれを削り氷像を造る芸術家が多い。透明度が高く、加えて溶けにくい立派な氷のため南部へもよく出荷される。美しさにたまげた南国の王が氷像と結婚したという逸話もある。
風がある状態では流線型のフォルムのヤンキー氷ができる。最近ではこちらの不規則な形状をいかに巧みに扱えるかを競う風潮がある。風の流れを計算・調整させて、精巧な造形を創り上げる職人もいる。

北の地ブルーノーツァの渓谷には無数に積層化された霜柱の洞窟がある。
積雪の上に直接霜柱は作られないため、雪の上に土や植物が積もる期間(夏期)がある。最短でも1段積み上げるのに1年かかることから計算すると、この文献の執筆時点で最古のものは36000年前の遺産。
地殻変動など自然現象によって洞窟同士が連結・分裂を起こしている部分もあり全貌は不明。多くの洞窟から文明の遺品を探ることができる。(太古から氷の塊を削り氷像を造る文化があったことも判明している)
凍った水に含まれていた成分が作用して変質している洞窟もある。
氷付けとなって冷凍保存状態にあるライフ・エフィル・魔物も少なくない。
氷の変質と閉じこめられた者がお互いに影響しあって突然変異を起こすケースもあった。

現代においても手作業で住居を建てる手間がないことと、毎年埋もれてしまう不便さから逃れるために住まいとして利用するものは多い。氷の壁の厚みや強度を計算する技術を併せることで、意図的に住居同士を連結させて利便性の向上を図ってる。しかしいかんせん寒い。