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言葉は進化する。複音会話
キーワードは「2」
君たちにはたくましい2本の足と、器用な2本の腕がついていて、2つの目で未来を見据えて、2つの耳で善し悪しを聞き分けて、そうやって生きているのだろう?
こうして「2つ」というキーワードと私たちの身体を見てみたとき、どうも腑に落ちない点は案外たくさん浮かんでくるものだ。
その中でも実現できたら生活が一変しそうであるにもかかわらず、未だ極一部の地方で「噂」レベルでしか存在しない事例がある。
それが「声」だ。
会話をするとき、相手は1人とは限らない。
伝えたい言葉が足りないと感じることは多い。
それでも何故だかヒトは声を同時に発する術を求めようとしない。
私は想いが届かない無力さに嘆き、この術を探し続け、研究を重ね、練習を積み、そして手に入れた。
「デュアルボイス」
しかし現実はなかなかに非情なものだった。
2つの音を聞き分けられるだけの耳を持つ相手が、まだ数えるほどしかいなかった!
私の悔しい気持ちは一転し、今の目標は、私の想いを受けるための術をヒトに伝授するその術を開発することとなった。
先日東の国には千の声すら聞き分ける異能者がいると聞いた。ならば2つの声を聞き分ける程度雑作もない。
「デュアルヒア」
完成した時は神にでもなった気分だった!
しかし現実は私にまたも厳しい試練を与えたのだった。
2つの音を同時に発して伝えることができる能力を持っているのは、私以外にはほとんどいなかった!
私に芽生えた執念という感情は今の私を象っている。
片方だけを会得してもそれでは役に立たない。真実に直面した私は日常会話をすぐに会得できる教育プログラムまで完成させた。
この文献を読んだのもなにかの縁だ!
キミは「デュアルトーク」を学び、そしてひとつでも多くの言葉を持つ文明に進化を授けるのだ!
まずは「複音発声法 –デュアルトーク-」を会得するべく、私の元に来たまえ!!
西の極地で待っているぞ、もう今から笑いが止まらないのだ、長い間進化を忘れた《言葉》が進化する瞬間を見届ける図が目を閉じるたびに浮かんでくるのだから!!