Atradium

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氷穴のワルキュレス

流氷の亀裂が生んだ氷のジャベリン。
その矛先は空間を凍てつかせ砕き、遠く離れた標的をも貫くという。


いまから4億2900万年昔、「北の境界」のさきには巨大な永久凍土が存在した。
飛来した隕石によって氷が砕かれ、隕石に乗ってきた炎の魔獣が氷を溶かし、地底に息を潜めていた地の魔獣が岩盤を粉砕した。
永久凍土はその姿を失い、海の流れに流氷として流れ出ていった。
土地神たる「セリウス」は崩れていく自身をひと掴みの氷に封じ込めて、己を保とうとした。
氷は長く鋭く洗練されたが、完成を目前に魔獣の襲撃を受け、不純物の含まれた不完全な”神憑き”となって流氷とともに海を渡った。


神の力を持つ一方、その絶大な力が純粋でないとき、不安定である影響は周囲にも強く及ぼされる・・・らしい。
氷穴のワルキュレスは投げられた瞬間から周辺の空間そのものを凍らせながら進み、命中すると確実に貫き、内部から永遠の氷漬けへと巻き込む呪力を秘めている。
いまこの武器を持つのは冒険者ギルド「ゼロサーモ」のトップ、「ディマーラ=カン=ケルビン」。
彼は過去に一度その槍を投げたものの、あまりの能力の高さに驚き、恐れ、以来自身が所持し続けることで邪なものの手に渡ることを防いでいる。