Atradium

CC-LICENSE BY-NC-SA クリエイティブ・コモンズ・ライセンス
copyrights 2012 Atradium

ハナの古語

ベイクド=ムシュー地方の遺跡から出土した、クォックバーンと呼ばれる板状の物体から、とある方法で「音」を抜き出すことができることがわかった。
この音はクォックバーン表面の白い幾何学模様に沿って取り出すことで、ある特定の法則に基づく波長を持つことまでわかり、文字・音ともに現地の方言で「懐かしさ」を意味する「ハナ」からとって「ハナ語」または「ハナ古語」と命名された。
ここでは今回取り出された「音」について触れる。


クォックバーンから音を取り出すのに、特別な道具は必要ない。
爪を立てて、その表面を引っ掻けばそれだけで十分音が取り出せる。
ただしこの音は、聞くヒトによってはとても不愉快な音なので、研究者のうち何名かはすでにリタイアしている。


耳の奥をつんざくような音が「記録手段」として残された背景には、外敵に情報が漏れ出ることを防ぐ目的があったと考えられている。後世に残す情報であれば、すぐに取り出す必要もなく、記録する際一度だけ苦痛に耐えれば済むので、解析しようとする外界のものにだけ多大なリスクを負わせることができる。ベイクド=ムシュー地方は、隣接するボイルド=ボシュー地方やスチーム=フシュー地方と長らく戦ってきた歴史があるため、この説は裏付けできるだろう。
一方で音量の調節が難しい、双方向の発信(交信)が難しい、音を出すために大きなクォックバーンを持ち歩く必要があるなどの点から、会話としては別の言語が使われていたものと推測されている。


周辺地方を合わせたここ一帯「ヤクニルムス地方」は、多くの遺跡やロストテクノロジーに溢れているため、音源に記された情報を元にしたさらなる有益な情報の発見に期待しよう。