Atradium

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森に入るときには押さえておきたい旅の心得(1.危険編)

「ポイズングリムリーパー」

成虫は50センチ強になる肉食の虫。音に敏感で気性が荒く、好戦的である。
腹部の針にはドラゴンを一瞬でしとめる猛毒の線が通っている。

雄は深紅、雌は青色で全身に光沢がある。極稀にまだら模様がいるが、お察し下さい。
羽根は2層構造になっているが、内側の羽根は体温調節機能に特化したため飛行能力は退化している。そのため速度に変化をつけることはできず、旋回やホバリングを行うことはできない。



《対処・考察》

備える猛毒に頼ることで運動能力が退化した。そのため活動範囲は狭く、素早く距離を置けば追いかけてくることもない。
逃げることが困難な場合でも、焦らずに冷静な対処をとることができれば何ら問題は無い。
先に音に敏感と書いたが、これは視覚が鈍く退化していることも意味している。その場から音を立てずに退き、通り過ぎるのを待てば安全にやり過ごせる。

極力戦闘は避けるべきだが交戦をやむなくされた場合、先手は取らず相手の出方を伺ったほうが良い。
前述したようにこの個体は飛ぶことが不器用なため繊細な行動には対処できない。小回りをきかせて針を回避して背中を叩くと良い。ただし外骨格が固く耐久力があるので長期戦を覚悟すること。
毒針は鋼並みの硬度をもつため、破壊はまず不可能。また刺激を与えると霧状に毒液を噴射することがあるので触らないこと。毒液は飛沫だけでも全身麻痺を起こす。
弱点は羽根の付け根の裏側。一撃入れることが出来れば撃ち落すことができる。

雄のポイズングリムキーパーは強い縄張り意識を持っているため、同じ森に2匹以上が住み着くことは無い。よって、1匹振り切ることができれば別の森に入らない限り脅威からは解放される。
(ただし年一度吹雪の季節の繁殖期を除く。雌は普段乾燥した大地に潜って活動している。地中にいる間と地上に出て間もなくは毒素が存在しない。)


毒は万能薬の材料として重宝されるが、扱いの難しさから敬遠する研究者も多い。