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プラスに働く感染症

シクリドの感染症

かつて「潔癖の街」と呼ばれた「シクリド」で大流行したといわれる感染症がある。
極端なまでに穢れを嫌った神聖な領域で、どんな病が存続しえたのだろう。


どの歴史を覗いても、この疫病は流行したという記述しか残されておらず、その症状、規模、感染者数、病によって命を絶たれた感染者数、免疫の開発、その後の経過といった情報はどこにも無い。
シクリドの住民に訪ねても詳しく知る者はおらず、地質や体質を調査して回ってもこれといった結果を得ることはできなかった。
そのため「シクリドの感染症」には様々な憶測が存在する。
ここに記すのはその中のひとつ、感染するとライフに対してプラスの効果が働く説である。


「メリタンテート(MeriTantage)」

大流行したという「唯一の」手がかりのもとに想像されたウイルス。
大規模な感染が起きたにもかかわらず感染者に関わる情報が無いのは、これによる被害が存在しなかったというケースが考えられる。
つまり、この感染症によって重症、あるいは絶命した患者はひとりとしていないということになる。
しかし何ら変化をともなわないのであれば、それが感染症であることに気付く余地すらない。

以上のことから予測されたのが、感染することにより「プラス」の効果が働くという説だ。
ただし、極端な変化を引き起こしてしまえば、それは埋もれている日記の中に記述が残るであろうし、近隣の街などにもそのことに対する記述が何かしら残るはずである。
よって、感染したことによって発生する変化は小さいものでありながら、感染と完治が体感できるレベルであることになる。

そのこともふまえて推測される症状は以下の通りである。
・身体能力の向上(走るのが速くなる、ジャンプ力があがる、力が強くなる、視力や聴力が上がるなど)
・免疫力アップ
・特殊能力に目覚める(一時的・永続的含めて)
・もふもふになる
・元気になる

そしてこの感染症を引き起こすウイルスは、短期間の間に街全体に広まり、感染とほぼ同時に自身が向上させた免疫力によって破壊されてしまい、以後別の地域に広まっていくことは無かったものと思われる。