Atradium

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忘れられた大地

生命を育む緑すら拒み、滅ぼしてしまう死の大地がある。
その領域に入った者は如何なるものでさえ餌食にされてしまうと専らの噂だ。地図上での形状も相俟って一度食らいついたら離さないまるで「銀狼」のようだ、とのことから、この死の大地に名前がついた。「フローズヴィトニル」という名前が――。



死生の深淵

死の大地「フローズヴィトニル」では、その噂から子捨てや生贄、儀式の場として使われることが多い。今でも(以前よりは数は減少しているものの)そういう使われ方をされているのは間違いない。
また、そのような不遇な死に方をした生命がいくつもあるため、エフィルといて蘇るものや報われない精神が集ってできた魔獣が少なくない。


不安定な時代の話

緑を喰らい滅ぼしていたのは、今よりずっと昔の「不安定」な現代の出来事だ。
いつ生まれたのであろうその土地は、周囲の大地を滅ぼして領域を広げていき、時には動物には聞こえない呼声をあげて、遠隔地の肥えた大地を呼び寄せたとも伝えられている。
悪影響は自然だけにはとどまらず、動物にも毒素を放ち苦しめた。この毒を武器や素材として利用したことで生まれた黒い歴史も数多くある。


大地を安定させたモノ

そんな不毛の地を現在のように「安定」させた状態にした者がいた。それが「盗賊神」の異名を持つスティルと呼ばれる人物だ。
彼は、生まれてすぐに「フローズヴィトニル」に捨てられた。しかしスティルは死の大地と謳われるその地で息絶えはせず、確かに育ってきたのだ。それが、この「フローズヴィトニル」という地にとっては良かったのだろう。
「忘れられた大地」を母なる地として記憶した物が現れたからなのか、それとも「不安定である状態」そのものを盗賊神が奪ったのかは定かではないが。



盗賊神スティルが「フローズヴィトニル」にいなくなり、随分と時が経つが今も死の大地は変わらず安定している状態に近いのだという。
この状態が続いてくれることを切に願う。