Atradium

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盗人スティル

かつて『銀狼の牙』と呼ばれる荒野に住み着いていた盗賊がいた。
その盗賊の名前は「スティル」。幼い頃から盗みをはたらき、とある場所でその名を轟かせた。
そして後に「盗賊神」の二つ名を与えられるほどの実力を持つことになる。


盗賊神の由来

スティルはその二つ名の通り”盗む”ことを得意とする生粋の盗人だ。
彼はあらゆる『モノ』から『モノ』を盗む。旅人から金を盗んだり、賊のお宝を盗んだり、魔獣の五感を盗んだり、エフィルの行動源を盗んだり。ついにはヒトビトから「神」と称されるモノからそのスベテを盗んだりもした。
そしていつしかその実力が認められヒトビトに「盗賊神」という呼び名でその名を知らしめることとなった。

しかし、そんな「盗賊神」にももちろん弱みは存在する。盗みに長けている一方でその他のことはサッパリ駄目なのが「盗賊神」なのだ。
考えることが苦手で、話すことが苦手で、まるで赤ん坊のような存在だと、彼を知る者は言う。
そのために盗んだモノの価値を知らず、自分の好きなように自分が生きるための最小限の範囲で使用している。

無知ゆえの恐ろしさ

彼の恐ろしいところはまだ彼自身が自分の能力を無知ゆえにすべて理解出来ていないところだろう。だからこそ、事を荒立て彼が暴走でもしたらセカイが盗まれる危険だって充分に孕んでくる。
事実、彼はあらゆる者から、そう「神」と称されるモノからさえも盗みをはたらいている。その能力を一般大衆に向けられたりなどしたらどうなるかすら想像できない。
スティルの盗賊神としての力……。神からスベテを盗む能力でさえも未だ「未完成」の能力だと私の直感は告げている。
もし彼自身が成長し、物事を理解できるようになり自身の盗みの能力を「完成」させたとしたら、恐らく歴史は彼次第で”0″もしくは”1″のどちらかに傾くだろう。これだけは断言できることだ。

神からそのスベテを盗んだ彼は今もなおセカイの片隅でひっそりと暮らしていることだろう。今はただ己の存在を、己の志を正しい方向に向けていることを幸に願う。